月: 2017年4月

栄養士コラムVol.23

こんにちは。
4月から再び栄養レターを開始させていただきます。

ご参考にして戴ければ幸です。どうぞよろしくお願い致します。

スポーツ栄養は、2000年シドニーオリンピック後から様々な競技で科学的に発展し、多くの国々で取り入れられています。

 野球では、2004年のオリンピックからイチロー選手が活躍し、プロ野球選手の参加が認められ優勝へと進んでいきました。

 ただ、他の競技に比べ野球選手の食事への関心は、今なお低いということもよく耳にします。プロ野球では、ロッテチームがコンディショニングマネジャーをチームに入れ、トレーナーさんと共に、栄養担当が2軍を中心とした寮の食事に関わったことが始まりだそうです。

 ある給食会社の方は、選手生命がやはり食と関わっているのではないかと感じることが以前は多かったと言われていました。例として、ご飯(米)をたくさん食べるために、マヨネーズだけかけて、ひたすら食事をしていた選手がいたそうです。やはり、あっという間にプロ野球の世界から消えて行かれたそうです。

DAVE Baseball Academyでは、さらに成長し続けなければならない選手が対象です。なおさら食が重要となります。毎年、修了式でのタック川本さんは、「メジャーに進むには多言語を話すことと、何でも食べられることは大切です」と言われています。ただ、ここでは何でも食べられることは大切ですが、食がどのように身体に働き、どのようなものを食べるとより効果的であるかお伝えできればと思います。

このレターの目的

 「何でも食べられること!」 

  ・食べたものがどのように身体と関わっているか。

  ・どのようなものを食べるとより効果的であるか。

ヒトは動物ですが、栄養を蓄えるという行為は、植物から学んだことです。植物の栄養を蓄積する方法にグリコーゲンという言葉があり、それが今は、ヒトの体の中で糖(炭水化物)を蓄える一つの物質の名として使われているのです。

今月のテーマ

  「ペットボトル症候群」=スポーツドリンクや、清涼飲料水を大量に飲むことで急性の糖尿病になること。ソフトドリンクでも糖分の多いもの、アイスクリームなどでも起きる。

暑い時には、イオン飲料が大切だと考えている方も多いと思います。実際、選手達の多くは、イオン飲料と共に、炭酸飲料や、エナジードリンクを好みます。

さらに、もう一つ注意する必要があるのが低甘味料などの人工甘味料の存在です。

右の表は、砂糖に含まれているショ糖=スクロースを基準に甘さを示したものです。

天然糖のラクトースは母乳の中のみにあり、はちみつには転化糖があります。

イオン飲料の中には、人工甘味料が入っているものがあります。例えば某メーカーのスポーツドリンクには果糖ぶどう糖液糖という砂糖の一種が約25g入った上でスクラロースが最大5mg程度入っています。スクロースに換算すると600倍の甘さがあるため、少量で済みます。ただ、砂糖に換算すると3g程度となります。糖質は通常1g=4kcalです。3gは12kcalのエネルギーが加わることとなり、このことを多いと感じるかどうかです。

糖分をその分多く取ることになりますが、それ以上に脳への働きが私は心配しています。甘味値が100倍を超えることは、実際の糖質の働き以上の甘さのシグナルを脳はもらい、エネルギー源としての働きはないことになります。脳へ混乱する信号を送ることは、身体の消化、吸収、さらにはエネルギー合成に対してのシグナルが正しく作動しない可能性があります。「味覚がおかしくなる」と言っている研究者もいます。

子どもの味覚と脳を守るためにも、

正しい砂糖の摂り方と、余分な甘さの摂取は避けたいものです。

できるだけ、むぎ茶や水の摂取をおすすめします。

公認スポーツ栄養士、管理栄養士 德野 裕子