年: 2018年

栄養士コラムVol.25

ご無沙汰しております。今年もあと僅かですが、この1年間の選手の皆さんの成長ぶりはいかがでしょうか。

成長とは、まさに身体の形成的変化のことを言います。身長や体重や座高などが変化することを成長といいます。そして、機能的な変化のことを発達といいます。精神機能や運動機能、生理機能が上達することを意味します。そして、これら両方を合わせた意味を発育と言います。

この1年間の選手の皆さんの発育は、どのくらいありましたか?

毎年、1度の栄養相談の時期に一番多い質問は、身長と体重、つまり成長のことについてのご相談です。まさに栄養と直結する内容です。どんな食事や、どんなサプリメントが成長に効きますか?というご質問です。その質問に答える前に、必ず以下のことを私は心がけています。もちろん例外的なこともありますが、多くのお子さんが当てはまることが多いです。

①そのお子さんの遺伝的素因はどうですか? だいたいですが、以下の式を使って計算をします。

   男の子   【父の身長(㎝)+母の身長(㎝)+13㎝】÷2㎝

   女の子   【父の身長(㎝)-13㎝+母の身長(㎝)】÷2㎝

  あくまでも予測値ですが、この数字の±4㎝の範囲がお子さんの身長の遺伝的素因の可能性です。

ただし、+4㎝は、やはり成長させる努力が必要です。

②今の成長のスピードは適正ですか?

  学校保健統計調査報告書から提供されている成長曲線を使うことで、お子さんの成長のスピードを確認することができます。

 成長時期をきちんと利用すると、50パーセントタイル値が75パーセントタイル値にも90パーセンタイル値にも変化します。97パーセントタイル値にいる選手は、同じ年の集団で、全体3%のとても大きい選手であることを意味します。体重と身長が同じパーセンタイル値にある時は、最もバランスがとれた体です。

最近の選手は、遺伝的素因よりも小さい選手が増えています!

原因は、生活環境の乱れ、食事量不足、食事の質の悪さ、良質な睡眠不足などが挙げられます。受動喫煙も成長できない大きな要因であることも注意してください。

ご存知ですか?「3・1・2弁当法」

もともとは、右の図のように体と心とくらしと環境に健康な1食として開発された方法です。

基本は、1ml=1kcalです。900ml=900kcalがおおよそ成り立つのです。私の研究室では、「1㎏弁当」を研究してきました。重量を中心にお弁当をつくり、栄養価計算をすると確かに1000kcal前後のお弁当が出来上がります。特に、ご飯の量をきちんと右の図のように決めること。

1㎏のお弁当の時には、半分の500gを飯にすることが大切です。そして、程よくおかずを加えることがエネルギーを多く取れるようにする秘訣です。料理が動かないようにしっかり詰めることも大切です。

でも何よりも大切なことは、彩よく美味しそうに、きれいなお弁当にるすことがポイントです。

ただ、1㎏を作るとなるとかなり大変な作業になります。そこへきて彩よく美味しそうに見えるお弁当は手間暇かかってしまいます。

ご飯の白、〇野菜やおかずの赤、〇野菜の緑、〇卵などの黄色、〇煮物や揚げ物の茶色

と考えてみてはいかがでしょうか!

 食欲がないお子さんは、お菓子の食べ方に注意が必要かもしれません。お菓子の中には、様々な食品添加物や、食欲を抑えてします砂糖類など、脳の食欲中枢を麻痺させ、胃を中心とした消化機能の低下が起こる場合があります。

 アメリカには、「胃が強い人は、ストレスに強い!」ということわざがあります。ストレスを感じられているかもしれません。

 胃を活発化させる食品  あずき、大根、りんご、人参です。

 良質な睡眠には、寝る1時間前には携帯電話や強い光を浴びないようにする。ホットミルクにはちみつを飲んで、軽い運動をしてみてください。朝起きた時の目覚めで確認を!

ご不明なことがありましたら、お気軽にご相談ください。ご参考にいただければ幸です。

公認スポーツ栄養士、管理栄養士 德野 裕子

栄養士コラムVol.24

 8期生の皆さん ご卒業おめでとうございます。

栄養について、最近はとても意識される選手や保護者の方が多くなられたと思います。

 2018年冬の平昌オリンピックでは、過去最高のメダルがでました。2009年、オリンピックでの活躍が益々社会性を帯びていることから、右のような言葉が発表されました。

韓国でも、平和の祭典がとても意識されたオリンピックだったと思います。アスリートの方々は、大変な努力の成果を私たちに見せてくれました。

食事管理で言えば、スピードスケートの金・銀・銅のメダルをとられた高木美帆選手は、9か月間食事の写真を通して栄養管理が行われました。その数800枚以上だったそうです。500m金メダリストの小平奈緒選手は、同じ所属チームの元オリンピアの栄養士さんがついて歩かれたそうです。

スピードスケートは、持久力を必要とする競技のため、食事管理が顕著に結果に結びつくかもしれません。ただ私が考えるアスリートの食事管理は、

食事管理が十分でき、練習試合や、試合を行うことが出来た時、

 体力には問題がない分、自分の精神面や技術面の欠点を見つけやすい。

そして改善することで、

体、力、技術、精神といったすべての面が総合的に完成し、結果優勝できる。

 これが、なぜアスリートにとって食事管理が必要であるかの意味だと思います。

3年生は、これで最後の栄養サポートです。不明なことがありましたら、ぜひ卒業後も尋ねてもらえればと思います。

〇アスリートにおける栄養ポイント

1.筋肉は約3か月、血液は約4か月、骨は2~3年で生まれ変わります。

毎日私たちの体は、作り変えられているのです!

2.骨は、自分の今の年齢よりも強い場合と弱い場合が人によってあります。

だからこそ、カルシウムをしっかり摂取する必要があります。

でも、牛乳やヨーグルトやチーズといった乳製品だけに頼らないでください。

小魚や、小松菜といった野菜、大豆製品なども摂取するようにしましょう。

納豆を50回以上まぜ、ねばねばする食品(オクラ、もずく、茎わかめ)や魚(マグロやちりめんじゃこ)、卵黄と一緒に時々は食べましょう。

カルシウムの吸収をより良くするビタミンDなども一緒にとるようにしましょう。

睡眠をしっかりとりましょう。成長ホルモンもカルシウム吸収に重要な働きをします。

3.嫌いなものを食べるようにしましょう。

  バランスの良い食事を心がけましょうと言われますが、嫌いな食べ物や、日ごろとは違う食事をしてみましょう。

ふと気が付いた時に、日ごろ食べていないものはないか確認し、その食品を食べましょう。

4. 見える食品だけでなく、見えないところからの栄養を取ることを心がけましょう。

  日本は、だしの文化があります。様々な出しを上手く利用しましょう。

 〇鰹節からのだしづくり

   時々贅沢なだしでお汁をつくりませんか。

   1リットルの水に鰹節30g  (にんべんのホームページをご参考ください)

①水が沸騰したら火をとめ、30グラムの鰹節をくわえる。

②鰹節が沈むのを待つ(約1分)。その後、ざるでこします。

*こす時に、決してふったり、お箸で抑えたりしないようにしましょう。魚の臭みがでます。

③その残った鰹節は、ふりかけにしてすべて食べましょう。

(水分を十分きって炒め、調味(みりん大さじ2、醤油大さじ2、砂糖大さじ2)します。)

〇ガラスープづくり

 とりのガラ1パック、水2リットル、ネギの青い部分少々、生姜の薄切り3枚

①ガラの血合いなどは水洗いできれいにします。

②鍋に水とガラとネギと生姜をくわえて火をつけます。

*水の量は、ガラの状況にもよります。3リットルでも大丈夫かと思います。

③鍋の内側に泡があがってきたら、中火にします。決してぐつぐつと強火にしないでください。

④20分たったら火を消してください。すぐにガラを取りださなくても大丈夫です。

ケガをされることなく、ご活躍されることを心よりお祈り致します。 

公認スポーツ栄養士、管理栄養士 德野 裕子