月別: 2012年2月

栄養士コラムVol.11

今月は10月に保護者の方々にお配りしたものの一部をアップ致します。

 

平成23年10月16日

Dave Baseball Academy 

栄養レター

 

 今だからマグネシウム

 

 これから少しずつ一つの栄養素に注目した栄養レターを書いていきたいと思います。その最初の栄養素は“マグネシウム(Mg)”です。

マグネシウムは、重要な“主要ミネラル”。漢字で“鎂”と表記されます。

1.体内に存在するMg(平均25g)の約60%が骨・歯の構成成分として存在。

2.体が上手く機能するために必要な325種類以上の酵素活性をMgは維持。

 ☆酵素(こうそ)とは、生体でおこる化学反応に対して触媒として機能する分子(Wikipediaより)

 ☆簡単に言うと、洗剤などで聞かれる“酵素パワー” たんぱく質を基に構成されている。

 ☆酵素は、体内で作られるものもあれば、食品からとらなければならなく、体内には約2500種類以上酵素が働いているとも言われている。

3.高エネルギー(ATP)産生過程で重要

 ☆エネルギー(ATP)を作るために私たち日々食事をしていますが、ATPを作る方法や強さに、食事の質が大切になるのです。

4.細胞膜に存在するイオンチャンネルに作用し細胞内のカルシウム(Ca)過剰蓄積を抑制する働き。⇒ “自然のCa拮抗薬”つまり、Caが多すぎてMgが少ないと×

 ☆日本(2007年)の食事では、Ca/Mg比=1.97  

  乳製品を多くとる国アメリカ、オランダはCa/Mg比が3以上⇒虚血性心疾患が増える原因

 ☆現在は日本人食事摂取基準(2010年版)ではCa:Mg=2:1が推奨されています。

5.筋収縮・弛緩、神経興奮伝達、核酸合成、ホルモン合成にMgは重要な働き。

 思春期までは、筋肉と神経細胞を結びつけることが将来の筋肉の運動能力に関係します。そのためにもMgがとても大切です。筋肉と神経細胞を結びつけるゴールドエイジは10歳から13歳。

6.インスリン抵抗性のメカニズムの中にもマグネシウムが関係

↓ 糖尿病予防にも大切

Mg不足が2型糖尿病を引き起こす引き金になる(遺伝性ではない糖尿病)

 横田邦信「日本人2型糖尿病発症へのマグネシウム(Mg)の関与」

日本臨床栄養学会雑誌,p301-,2007より

 横田先生は、虚血性心疾患予防からですが、1972年塩田法廃止によりにがりを使用しなくなったことで、Mg不足を引き起こしているとも言われています。その後、1997(平成9)年塩の製造販売自由化がおこり現在に至っています。岩塩など様々な塩やにがり(ただし取り過ぎには注意)を使うことが効果的です。

マグネシウムを含む食品

 マグネシウムは、基本ほとんどの食品に含まれています。青魚や牡蠣やエビ類などの魚介類、のりやひじきやわかめなどの海藻、大豆製品、そして大麦や雑穀などの穀類。

 その中で、注目はナッツ類です。お子さんのちょっとしたお菓子、また胡麻和えなどの料理としてナッツ類を使ってみてください。ここに書かれていない種実類にもMgは含まれています。

食品名  mg/100g 食品名  mg/100g
ひまわり  390mg らっかせい  200mg
ごま  360mg ヘーゼルナッツ  160mg
アーモンド  270mg ピスタチオ  120mg
カシューナッツ  240mg  

 

管理栄養士 徳野 裕子

栄養士コラムVol10

平成23年9月19日

Dave Baseball Academy

栄養レター 

子供の将来のために タバコへの細心の注意を

 喫煙者の保護者の方へは耳の痛い話ですが、お読みいただければ幸いです。

平成15年に施行された健康増進法により受動喫煙防止も含めて禁煙に関連する事柄が法律で規制されました。それにより、レストランや乗り物など公共施設での禁煙や分煙が進んでいます。

さらに、平成17年には「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(WHO Framework Convention on Tobacco Control)の条約が平成16年6月ニューヨーク(国連)で採択され、多数国家条約として本条約が発行されました。もちろん日本もその一員となります。この条約により、日本国内では健康増進法よりも急激に禁煙活動を推進されるようになり、現在は、1箱700円になろうとしているのもこの条約の影響です。例えば、台湾では、妊婦さんがたばこを吸った場合、警察に捕まります。また、シンガポールやマレーシアでは、公共施設での喫煙に対する罰則はとても厳しいものです。タイでは、映画やドラマの喫煙シーンにはモザイクがかかります。

 つまり、世界的にもタバコは廃止への方向へ進んでいるのです。では、なぜそこまで禁煙をしなければならないのでしょうか。

すべては、子供を守ることが重要課題なのです。

1.    喫煙が、麻薬などの薬物依存への入り口となるため。

以前は、喫煙を未成年者が始める場合は、ある意味では、はっきりと悪い子だとわかるような子供たちが行っていました。従って、その中にも秩序的な社会が存在していました。薬物に手をだすのも、特異的な人だけでした。しかし、今はインターネットの普及もあり、簡単に薬物を普通の子が手にすることができるのです。

2.    成長段階での喫煙は、大人の依存性よりも強く急激に進み、体への影響は想像以上の悪影響をもたらす。タバコ煙も同様です。

 子供へのタバコの煙は、幼児期は、受動喫煙率が高ければ乳幼児突然症候群での死亡、そうでなくても、小さい時から中耳炎にかかりやすく、気管支炎や肺炎になりやすい原因となります。また、小さい時からの受動喫煙率が高ければ、親よりも子供が大きくなれません。脳細胞にも影響し、学習能力低下の子供の家庭内受動喫煙率の高さが報告されています。

注意していただきたいのは、家庭内での分煙方法です。

ニコチンの曝露:体内に入ったニコチンは一部コチニンという尿や唾液に分泌される物質に変化します。コチニンは食べ物や飲料水など天然には存在しないもので、ニコチンが体内に入ってこないとできないものです。血中のニコチンの半減期は約2~3時間ですが、コチニンの場合は約17時間ですから、どれだけニコチンが体内に入ったかの指標になります。非喫煙者の尿中のコチニン濃度の平均値を1とします。

 

つまり、非喫煙を1としたとき、同じ部屋でタバコを吸う人がいる家庭で育った子どものニコチン濃度は約15倍ですから、15倍の受動喫煙の影響があることになります。台所換気扇の下で喫煙する場合も3.2倍の受動喫煙の影響があることになります。ましてや同じ車の中でタバコを吸う行為はもっと多くの受動喫煙の影響があるのです。 

その他、タバコの煙の子供への影響が初期段階で分かるのが歯肉が黒くなるメラニン色素沈着です。下の写真は、5歳の歯肉の状況です。色素沈着している子供の母親は喫煙者で、健康な歯ぐきの子供の保護者は、非喫煙者です。山形市の開業歯科医師が調べた結果では、色素沈着した子供の70%は保護者が喫煙しており、色素沈着していない子供では、保護者の喫煙率は35%だったそうです。

たばこの害から子供のを守る http://www1.ocn.ne.jp/~yukinari/tabako.html

 

 以上のように、目で見える形でタバコの煙は子供たちへ影響を与えます。1分タバコの煙を吸っても、日頃吸っていない子供の毛細血管への酸素運搬が低下し、手の温度があっという間に低下していくのです。つまり、子供の成長期において、タバコの煙は、子供にとって一酸化炭素をはじめとした公害の煙なのです。体内に入ることで、血液内の必要な栄養や酸素運搬に悪影響を及ぼし、結果的に体と脳の成長をストップもしくは、成長を抑制することへつながります。そして、何よりも思春期のタバコへ走る子供たちの多くは、すでに吸う前からタバコの煙に抵抗はありません。スポーツは、好きであってもかなりのストレスを抱えます。その逃げ先が思春期に入りタバコに走らないことを願うばかりです。

 日本のスポーツの世界での喫煙率は、世界的にみてもとても高いです。これまで勝つことができたかもしれません。しかし、世界に通じる選手で、選手生命の長い選手の多くは、非喫煙者が増えています。たばこの煙は、放射能を毎日浴びていることと同じとも言われてきました。

福島第一原発の放射線は、強い時で400ミリシーベルト程度 

毎日20本、1年間の喫煙では、70240ミリシーベルトの被曝に相当する

このタバコの害は、喫煙者への影響ですが、たばこからでてくる煙の方が、有害物質は多くなります。大人も子供も、今は放射能汚染された環境下で生きています。排除できる有害物質はできるだけ排除することが、将来プロを目指す子供を守る親としての義務なのではないでしょうか。最後に、日本小児科学会では、子供の前でタバコを吸うことは、児童虐待の一つであると認定しました。        

 理栄養士 徳野 裕子